仕事が終われば、いつもの街を通って
いつもの道を通り、いつもの見慣れた景色を抜けて
車は家へと辿り着く

すっかり日常に溶け込み
そこにあるのが当たり前だと思っていたもの
この5年間続いていた日常が昨日終わりを告げた


結局一度も行かなかった角のケーキ屋

いつも赤い顔をしたオヤジが騒いでいた駅前

いつもと違う道を抜けた時に見つけた小料理屋

どんなに飛ばしてもいつも赤信号だった交差点

いつも立ち寄ったコンビニですれ違ったお姉さん

いつの間にかなくなっていたイタリア料理のお店

毎年冬になるとクリスマスツリーが綺麗だったお菓子工場



自分の日常であると同時に、この街の日常になっていた通勤風景




いつもと変わらない街並みが見守る中
いつもより少しゆっくりと車を走らせた昨日の帰り道






当たり前の事が当たり前の事として明日も来ると言う幸せ
何故もっと早く気が付かなかったのだろう



ねぇケンカをする事にも疲れてしまったの?

ねぇ何を言ってもうなずくだけなの?

あなたが優しさと思ってるものはきっと違うわ

まわりから見れば私たちは幸せなふたり

でも本当のところは誰にもわからない

あなたにだって きっと私にだって



ねぇ 

風がなければ船は前へは進めないわ
なぜあのとき君が泣いていたのか僕は知らなかった

なぜあのとき君が無理に笑うのか僕は知らなかった

なぜあのとき君は何も言わなかったのか僕は知らなかった

あなたが今まで歩んだ人生を僕は何も知らなかった


毎日の暮らしに疲れきり
辿り着いた光の先が僕ならば
僕は無償の愛で応えよう
僕の中に住む君は
あの時から時間の止まった君であり
だから 決して今の君ではなく
生きることを忘れた女性です

この空の下に住む君は
あの時から歩みを止めない君であり
だから 決して昔の君ではなく
生きることを選んだ女性です

僕はきっとどちらの君も好きなんだろうけど
今を生きている僕は
同じく
今を生きている君が愛おしい

だから
この瞬間にも変わってゆく君を
とらえようと必死な僕から
するりと零れ落ちてゆく君に
今とても逢いたいです